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説明しよう! ~焼き・3.焼き~

この記事では、焼きのなかでも、焼きについて説明していくよ!
この表現は別に間違ってないはずです(`・ω・´)

■目次
■1.準備
■2.積層
■3.焼き

3.焼き

さて、スパーの焼きの記事も今回で3つ目ですが、ついに焼きのメイン!
焼きです!!

基本的な作業内容はリブ材・後縁材焼きのときと同様、です。
と思いましたが、前回は説明をほとんど省略していましたね。
今回はリブ材・後縁材焼きにはない工程がいっぱいです!
それでは作業を見ていきましょう~

■焼き・3.焼き コンテンツ

3-1.布団を巻く
3-2.バギングフィルムを巻く
3-2-1.バギングフィルムの準備
3-2-2.バギングフィルム巻き
3-2-3.シリコン
3-3.真空引きテスト
3-4.設営
3-5.セッティング
3-6.焼き
3-6-1.プレキュア
3-6-2.ポストキュア
3-7.解体


3-1.ふとんを巻く

さて、ここからは作業場所を移して、作業が行われます!
ふとんとは!
手芸用キルティングの綿で、商品名は「ドミット芯(2013年12月現在)」です。
離型布を巻いた楕円の周りに、ドミット芯を巻いて、糸でその綿を固定していきます。
離型布の周りにふとんを巻く理由は、主に2つ。

・プリプレグからしみだす、余分なエポキシ樹脂を吸着(再掲)
・しみだした樹脂を、真空引きのホースに流れ込まないようにする

こうすることで、スパー自体の余計な重量を減らすことができます。
このエポキシ樹脂の吸着が充分でないとき(QX-12で離型フィルムを使った場合)に、
実際にスパーの重量が重くなりました(´・ω・`)


3-2.バギングフィルムを巻く

さて、後半戦の山場がやってまいりました。
ここで、準備するものを予習しておきましょう。

じゅんびするもの:
・バギングフィルム
(スパーの長さ+1m、決して穴を開けてはならない)
・両面テープ
(いっぱい)
・吸口
・シリコン&シリコンガン
(黒か茶色、濃い色が望ましい)なんだか就活の条件のようだ((( ;゚д゚)))
・根気
(あればあるだけ)愛情もあればなおよし!

吸口は、ふとんを巻いている間に用意しましょう。
つくりかたは、先輩に聞こうね。
それでは、バギングフィルム巻きに突入です!


3-2-1.バギングフィルムの準備

バギングフィルムを準備しましょう!
布団が巻かれたスパーごと覆うために、スパーの長さに対して、
両側に+50cmほどの長さをとりましょう。
フィルムを長めに出して、ゆとりを持たせることの理由として:

・作業がしやすい
・真空状態にした時の張力によって破れないように、長さにゆとりをもつ
・吸口を固定したときに、吸口の動きの自由度が上がる

があります。

そして、バギングフィルムの中を真空状態にするためには、フィルムを袋状にする
必要があるので、フィルムに対してロの時・またはコの字に両面テープを
張り付けていきます。

1人がフィルムを机の上でまっすぐに伸ばし、もう一人が両面テープをまっすぐに貼る、
とすると早く・まっすぐ・しわと空気が少なく貼ることができます。
また、後にシリコンを打つことを考慮して、端から10cm以上取ると良いです。
最後に、QX-14の反省から、多少時間と両面テープが必要になりますが、後処理の
しやすさからコの字よりもロの字にすることをおすすめにします。
コの字にすると、スパー方向の両面テープの貼り合わせに苦労します。
片方のフィルムが一方的に短くなるし、両端の両面テープがきれいに出会うことは
めったにないので(´;ω;`)

年によっては、もともとチューブ状のフィルムを用いることで、キャンディ・吸口のみの
バギングで良いことが有ります。

この緑フィルムは、普段作業で使うバギングフィルムよりも厚みがあるため、真空引き
した際の安定性にかける事があります。
一長一短ですね。

3-2-2.バギングフィルム巻き

さて、フィルムを実際にスパーに巻き付けていきましょう。
この作業に関しては文章で書くよりも先輩に習いながら覚えていくことをおすすめします。
文字でのポイントは以下のとおり:

・できるだけ、バギングフィルムと両面テープの間にはしわを少なくしましょう。
フィルムの間を真空状態にするために、空気が入る隙間をなくす必要があります。
・両面テープ同士を貼りあわせて袋状にしていきますが、必ずしも両面テープ同士を
きれいに貼り合わせる必要はありません。空気さえ入らなければよし!
決して穴を開けてはならない←最重要!!何度でも言います。
・フィルム貼り合わせ時に、定期的に「ひだ(※実際に作業場で見よう)」を作りましょう。
真空状態にした時に、フィルムには大きな張力がかかるので、その張力を
分散させる役割をしています。
・ひだを作るとき、そのひだの折り目・根元はしっかり潰しましょう。
後からシリコンを打つことで真空状態にしますが、一度でもシリコンが両面テープの
粘着面についてしまうとくっつかなくなり、収集がつかなくなります(´;ω;`)

3-2-3.シリコン

先ほどの工程で、スパーをバギングフィルムによる袋でパックすることが出来ました。
両面テープのみでは隙間が多く真空状態にすることができないため、シリコンで完全に
隙間を埋めてしまいます。
シリコンを打つ前に、フィルムのひだを確認して、打つようにしましょう。
こんな感じ。

一人がフィルムを持ち、もう一人がシリコンを打っていきます。
手についたらさらさらになりますが、できるだけつかないように、上手に打ちましょう。

ポイント:
また、楕円スパーのシリコンはできるだけ少なく打つことを目標としていましたが、
できるだけいっぱい!
– ひだの場所に関しては、シリコンをモリモリと!
うちましょう。

真空引きの際に、シリコン不足の場所を探しての打ち直しは、とても時間がかかります。
いいですか、ケチってはいけません。
後で時間をとられると精神がけずられます。


3-3.真空引きテスト

さて、ようやくスパーを焼くための準備も最終段階です。
今まで作ってきたバギングフィルム(楕円側・外側)によって、きちんと袋の中が
真空状態にできるかどうかを、実際に確認します。

真空引きポンプからのホースをつないで、真空状態にします。
フィルムの中の空気が抜かれて、こんな感じになります。
真空引きの際のポイント:

・真空引きをする際には、外側のフィルムに張力がかかります。
必ずスパー・吸口に人がついて、真空引きによる張力で敗れることがないように、
その張力が分散するようにしましょう。
・ 吸口はほぼ固定されていますが、真空引きの際に吸口が原因で
(1) バギングフィルムを破ることがないように
(2) 吸口と楕円・スパーが接着する位置がずれないように
以降必ず人がついて、動かないように固定しましょう。
・だいたい空気が抜けたら、真空ポンプのメータを見ながら、空気が抜けている
場所がないかを確認していきましょう。
もしも空気が漏れている場所を見つけたら、すみやかに先輩を呼びましょう。
対処法は先輩がたが知っています。
ちなみに、QX-14の1番真空引きでは、例年に見ない難易度でした。
みんなで反省会ですね。


3-4.設営

バギングフィルムの準備をしている間、手の空いた人は外で設営を行います。
設営の準備内容としては、JETとかまの置く場所を決めて作業盤などの設置と、
JET・かま付近に風が吹き込まないように、ブルーシートで壁を作ること、などです。
こちらが設営の様子。
3-5.セッティング

さて、スパーをかまにセットしていきます!
ここでの作業内容は

・スパーのセット
– チャンネル材の直線の確認
– チャンネル材の高さの調整
– スパーの長軸出し
・真空引きのホースの配線・調整
・かまの組み立て
– かまの組み立て
– 断熱対策
– 温度計準備

です。
スパーを丁寧に扱って、かまにセットしましょう。
以上のスパーのセットが完了したところで、改めて今回焼くスパー全てを合わせて
真空引きを行います。
この時、真空引きされたスパーは安定性にかけることが多いので、特に吸口周辺
ではしっかりと固定しましょう!

しっかり真空引きすることができたら、いよいよかまを組み立てます。
すき間があるので、新聞紙やスタイロフォームを使って温度計設置や断熱対策をします。
断熱対策ポイント:
・この後かまが温かくなった時に、この断熱材付近を触ってみましょう。
もし温かければ、そこから熱が漏れています!
さらに対策をしましょう

温度計ポイント:
・焼きのときに使う温度計は3つ(2013年12月現在)です。
設置する前に温度計全ての電源を入れてみて、その中から表示温度の正しいものを
選びましょう
・スパーのある高さで温度が測れるように、設置場所を工夫しましょう。
また配線の関係上、かまのすき間から離れると、かまの外の温度計が見づらくなるので
注意が必要です


3-6.焼き

ついに、JET ONです!
焼きの「メイン工程」ですね、熱によって楕円を焼き固め始めます。
その工程は、大きく2段階に分けられます。

3-6-1.プレキュア

プリプレグを楕円状に焼き固める(スパーの焼成)

3-6-2.ポストキュア

スパーの中の楕円発泡スチロールを熱によって収縮させる

それぞれ、温度を5分単位でチェック・管理します。

温度管理のポイントは次の通り。

・温度変化は、上げるとき・下げるときともに5~7度の間で遷移させるようにしましょう
急激な温度変化はだめ!

・プレキュアは、スパー全体を70~80度で維持させましょう
75度を超えるのが望ましいですが、高過ぎると中の発泡スチロールが変形して
設計の形が出なくなります。注意しましょう((( ;゚д゚)))

・ポストキュアは、120~130度で維持するようにしましょう
ただし、130度は超えないようにしましょう!
カーボンが傷んでしまいます((( ;゚д゚)))
この温度が発泡スチロールが収縮する温度と言われています(要出典)。

ここまで書くと、温度管理ってシビアなものだな…と感じられますが、やはり上級生の中には
温度管理の匠がいます。
積極的に温度管理をのぞきに行って、

「何を、どのように動かすか」
「温度を上げる・下げる場所はどこか」
「この操作で、どのくらい変化するか」

を見てみると良いです。
外気温・風などの要因にも左右されるため、一概には言えませんが、調整方法を
知っていると良いですね。

さて、実際の作業工程は次の流れになります。

かま内の温度
6~10度: JET ON
温度管理開始

~70度: 温度上昇(上げ過ぎ、かま内の温度差に注意)

70~80度: プレキュア開始
全体が70度に乗り、安定したら開始です
【6時間】

プリプレグが固まっているかどうか、一度チェック
柔らかければ、1-2時間ほど焼きます

~120度: プレキュア終了
温度上昇

120~130度: ポストキュア開始
全体が120度に乗り、安定したら開始です
【2+2時間】(後半は焼き縮みが足りなかった場合です)

30~ 度: ポストキュア終了
温度下降(下げ過ぎ、かま内の温度差に注意)

~30度: 全閉
JETを切り、かま全体をふとん(※ドミット芯でない)で覆います

~20度: 解体

さて、これまでの作業もそうでしたが、焼きの間も時間がかかります。
各々、食事や仮眠など、交代で休憩したり、思いっきり体を動かしてみたりすると
良いですね。
1年生のみなさんは、ぜひ夜はきちんと帰り、作業場にフレッシュに現れて手伝って
いただけると嬉しいです。


3-7.解体

さて、スパーが上手に焼けたはず(`・ω・´)
かまを解体し、作業関連の道具を全て片付けます。

焼く前は楕円には必ず4-5人ついていましたが、焼き上がり後のスパーは2人で
運ぶことができます。
チャンネル材は、これまでどおり、変形に気をつけながら4-5人で運びましょう。
かま以外の道具類は、全閉辺りから、順次片付け始めるとスムーズです。

作業場に戻った後は、
「離型布をはがす」
「スパーの中の楕円をしゅるしゅるする」←1年生の特権作業!
があります。
この作業は、ぜひ作業場で実際にやってもらいたいです(`・ω・´)

お疲れさまです!
以上で焼きに関する作業が終わりです。

黒い恋人とのクリスマス☆(ゝω・)はいかがでしたか?
この記事が作業の理解と、参加のきっかけに役立てられると嬉しい限りです。

では、良いお年を!!

■目次
■1.準備
■2.積層
■3.焼き

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