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QX23を振り返って(パイロット)

こんにちは。QX23パイロットの川野です。
旅行、学会、風邪と一通り学生らしい夏休みを過ごし終わったので、そろそろ振り返りを書こうかなと思います。一気に書いたので、誤字などがあれば都度修正などをしていけたらと思っています。(ほぼ感想です)

まずはパイロット関係の練習についてです。

大まかに3つに分けて今年は練習を行っていました。

1.ハンググライダー

メリット

・現状、実際に近い形で飛ぶための唯一の方法

・地面近くの間隔をつかむことができる(海岸練習)

・風を見て浮かびそうかどうかなどの知識や感覚がつく

・ある程度の高さ(あるいは怖いくらいの高さ)から飛び出すための度胸を付けることができる

デメリット

・金がかかる(金欠だと大変かも)

・時間がとられる

・きつい

自分が行った練習内容としては、以下の通りです。

練習内容

・海岸で直線飛行

・ハング用シミュレーターで飛行姿勢の確認

・発進からダイブしての地面効果の確認(意外と伸びます)

・山飛び(飛行間隔の向上、ほぼ趣味)

感想

人によってパイロットの練習にハンググライダーのいる・いらないは分かれると思います。実際、最高記録を出しているあざみ野さんは1回くらいしかやってないと聞きます。反対に記録を毎年出してるほかの学生チームはしっかりとハンググライダーをやってますよね。

僕自身としては、やってもいいかなぐらいです(記録も出てないですし)。実際ハンググライダーをやってみるとわかりますが、10mという高さは結構低いです。低すぎて逆に怖いですし、余裕がないです。今年のテイクオフを見てもらうとわかりますが、出てから落下まで2秒もなかったかなと思います。落ちても死ぬことはないですし、内臓も破裂しないくらいの高さです。でも何もやってないと、人生でこの高さから飛び出すことはなったことがないので、怖いと感じるかなと思います。この微妙に感じる怖さの中で、考えながら飛び出すことができるか、これがハングで養うことができる能力かなと思います。

あと、僕は本番では経験していませんが、練習で地面付近での伸びなども体験できるかなと思います。ハングで地面付近に高速で侵入すると、思ったよりも伸びていきます。この中でいかに地面につけないようにピッチをコントロールするかという部分を現実体験できるかなと思います。結構楽しいです。

最近は重心移動シミュレーターも作ってもらいましたし、今後やっていくうえでハンググライダーは必要なくなってくるかもしれません。別に、僕はそれでもかまいません。僕はハンググライダーに関しては、現実に近いほうがいいからやっていただけです(あと楽しいから、過去の先輩もそんな感じかなと思います)。自由にやってみてください!!

ハンググライダーをしたいと思ったらいつでも連絡をください(ほかのサークルのメンバーもね~)!!

2.(重心移動)シミュレーター

メリット

・何回も試行することができる

・いろいろ改良の余地がある(持ち手を変えたり、操作部を変えたり、ログとってフライトを振り返ってみたりなど)

・条件を細かく設定することができる

・ほかの人と競争ができる

デメリット

・現実条件との整合性

感想

重心移動シミュレーターは練習の試行回数を増やすことができて、非常にいいかなと思います。雨がふったり、風が悪いとハンググライダーはできませんが、これならいつでもどこでもできます。鳥コンを1000回経験したパイロットを作ることも不可能ではないと思います。

特に、条件を細かく設定できるところが大きなメリットなんじゃないかなと思います。風向き・風速・発進速度を調整することで、鳥コン本番でどんなふうに飛ぶのかというのをパイロットの体にマニュアル化できるかなと思います。ほかのフライトチームも発進速度、角度を完璧にできるように指導すれば、シミュレーターで出た記録は普通に出るのではと思います。

3.乗り込み練

メリット

・乗り込みのマニュアル化

・フライトチームの育成

デメリット

・人集まんないときに絶望するくらい

感想

乗り込みが命なので、完璧になるまでやりましょう。自分がではなく、フライトチームが問題なく安定して同じ動きができるようになれば、いいと思います。

特にテール持ち部分の引継ぎがうまくいかないところがあるので、しっかりと前年度の人は引き継いであげてください。テール持ちがテイクオフの半分以上を消えるといってもいいです。

引継ぎとして、僕は以下のことに注意して乗り込み練に臨んでいました。

・定常位置に完璧に乗り込む(まったく同じ位置に乗り込む)

 今回のフライトのような状況だと別ですが、とりあえず定常位置に乗っておけば棒飛びの場合だとほぼ勝ちだと思います。ただ乗り込むだけでなく、全く同じ位置に乗り込むということを意識してみてください。

・しっかりと本番(プラホ)をイメージする

 踏切位置の先は琵琶湖であるとしっかりとイメージをしてみてください。これができれば踏み外す、落ちるなどという愚行は起こさないのではないかと思います。

・できるだけ本番に近づける

 2年目はあまりやりませんでしたが、1年目ではカウルつけてみたり、曇ったゴーグルをつけてみたり、途中で浮かしてみたりなどいろいろやってみました。飛行試験・乗り込み練では本番に近づける努力をしてみましょう。なんでそんなことするの?という怪訝な目を向けられることもありますが、強いメンタルで吹き飛ばしましょう。

・すぐ動けるようにする

 なんかあったときにすぐ動けないとだめです。

以上のことに気を付ければたいていのことは問題ないと思います。たくさんやってみてください。

以上がパイロット関係の練習です。ほかにも過去の先輩が作った資料もありますし、ラジコン飛行機などの練習もあると思います。自分なりの練習というものを探してみてください。困ったら、さっき書いた3つをやってみればいいんじゃないかなと思います。後は設計と密に連絡を取り合うこととほかのメンバーとコミュニケーションをとることを忘れないようにしてください。機体を作ってくれる大事な仲間です。しっかりとコミュニケーションをとればわがままを言ったときに通りやすくなります(人数集めやお願いなど)。
頑張ってください。

次に、フライトの振り返りについてまとめます(一瞬だったので、かけることは少ないですが…)。

気象条件

天気:晴れ

風速:3m

風向き:プラホに対してほぼ正面(若干右だったかも、ほぼ誤差)

フライト前は、思ったよりも正面風が強くなり、正面から発進した後、左に振っていくことばかり考えていました。正直、テイクオフに関しては正面3m+発進速度6m=対気9mで何があっても浮かぶだろとばかり考えていました。今思えばすべてここから間違っていたんじゃなかなと思っています。

そしてスタンバイがかかり、機体に乗り込みました。ここでも正直浮かぶから逆に機体が浮かないように気を付けておかないといけないとばかり考えていました。この時点での僕の頭の中は、

・風が思ったよりも強いから、飛ばされないように気を付けよう

・出て定常に入ったら、左に舵を切るぞ

・脚蓋のボタンを押す

だけでした。油断しすぎてましたね。さすがにテイクオフでは失敗しないだろっていう風に考えていたんだと思います。

そこからテイクオフをすると、テレビ放送の通りになったって感じです。走ってる途中で少しおかしいと感じた部分はありました。最後の2歩くらいで妙にケツが上がる感覚がありました。ここで気づけていたらと後悔しています。

テイクオフした後は、水面が見えて、まずいと感じて頭をがん上げしようと格闘してました。中継見ていただくとわかるんですが、僕の顔がキャノピーから全然見えないかと思います。実際最後のほうでようやく引き起こせそうといった部分で着水しました。

直後の感情としては、意味が分からないという感情が大きかったなと思います。だってほぼ確実に浮くコンディションだったんですもん…

このフライトから学べる教訓は、パイロットはプラホに上ったらテイクオフ以外考えてはいけないという部分です。うちの機体はここ最近、最初頭から突っ込んでいく機体が多いように感じます。今回の場合だと、脚の機構部分の関係で前に頭が回りやすかったという部分がありました。実際、頭から突っ込んで水面しか見えなくなると結構怖いです。1年目はテイクオフ後、頭が真っ白になりました。

こんな感じなので、どんなに浮かびそうな状況でも絶対にテイクオフのことを考えないという愚行を犯してはいけないです。テイクオフがうまくいくまでは、引き起こすことだけをひたすらに考えておいてください。テイクオフさえうまくいけば、うちの完璧で究極な機体なら適当に飛んでも300はいきます。

とにかくテイクオフです。1にも100にもテイクオフです。それさえできればいいです。地面効果なんて関係ありません。完璧にテイクオフができればよかったと今でも悔やんでいます。僕以降のパイロットはこんな風に悔しい思いをしないようにしてください。とにかく本番で考えることと意識を向けることはテイクオフです。

最後にQX23の感想です。

2年目のパイロットかつ同期が中心となって作った機体ということもあり、記録を出せなかったことは非常に悔しく、申し訳なかったと思います。途中きつくなり、後輩や同期、先輩の中には僕というパイロットに対して不満を抱いた人もいると思います。本当にすみません。

それでも、自分自身が2年間パイロットをやったということに対して後悔はありません。とても楽しかったです。あまり作業していませんでしたが、いろんな班を毎日見ていって、自分の機体ができていく様子を見るのは毎日楽しみでした。パイロットという役職をしていなければ、サークルにこんなに顔を出すこともなかったと思いますし、楽しくなかったと思います。

皆さん、こんな自分に機体を預け、琵琶湖の空に2年も送り出していただき、ありがとうございました。1年間楽しかったです!

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