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鳥人間コンテスト2018を振り返って ver.永田

鳥コン2018は波乱の展開となりましたね
自分からはフライト面での振り返りを投稿します
感想などをばーーっと書いていますので読みづらいと思います
すみません。

フライト
体感と実際では大きく異なるので別々に記述

状況
予報は昼まで北西風2-3mで小雨が降るというもの

実際には朝から凪状態、どころか時折背風が0-2m吹いていた
桟橋のスロープに差し掛かったあたりから雨が降り始めた
止んだと思われたがゲートオープン少し前からまた降り始める
翼の表面に雨粒が大量についていくのが見えて、主翼班にセームアップ(ウエスで拭くこと)をガンガンするように指示
ゲートオープン前、カウルの中には雨の音が響いていた

体感
雨の影響でプラホはめっちゃ滑る状態(前日の乗り込み練で水をまいて行った通称「ジョンダリ対策」とほぼ同じ状態(※この時接近していた逆走台風がジョンダリという名前であった)。ジョンダリ対策はなぜかヌルヌル成分が出ていたが、プラホ上と同じ状況が再現できていたと考える。)
今回まっすぐ出ることにしたので、BIRDMANRALLYの文字の上を重点的に吹くようにお願いした。誰が指示したのかわからないが、プラホ先端のパイロットの踏切位置をかなり吹いてくれていたのは助かった。おかげで滑らず済んだ
発進はよかった

電装が離れた 入ります!
ゲートオープンおじが見える
雨の音がやばい ああああ

ゲートオープン
少し背風を感じた どうしよ
おっきーの21GOが打ち合わせ通りそのままスタート 行くしかねぇ(※今回は背風が吹いたり止んだりしていたので、発進のタイミングをつかむのは我々では困難であると判断し、ゲートオープンおじの外山さんの判断=ゲートオープンに任せ、直ちに発進しようと打ち合わせしていた)(追記:実はおっきー、俺の発進合図を聞いてからスタートするつもりだったらしい。俺が迷っている時間が長く、合図を聞き逃したかと勘違いしてしまったとのこと)

乗りこみ
スイッチオン   乗ってスイッチダイブの流れは極めて自然だった
(背風も吹いていたし、一刻も早く頭を下げたかったので、スイッチのあとすぐにダイブした)
ダイブした  風切り音が増していくのが聞こえたファーーー(放送後追記:どうもあれはダイブとは言えない。トリム位置付近に乗り込んでいて、ただ速度不足で頭が下がっただけと思われる。)
景色が変わったのがわかった(水面を認識したというより、景色が動いたという感じ。色がかわったなみたいな)
反射で引き起こした
無我夢中で量を考える余裕なく引き起こした
ピピピ音が消えている事に気づいた
くっそー下手だなぁと思いつつ飛ぶ
その後すぐに頭がグッと上がりホップした。(体全体が浮いた感じ。グライダーでいうリフト帯に入ったような)
やらかしたと思いつつ、失速が怖かったのと17のフライトが頭に浮かんで、ワンテンポ遅れて操舵がついてくる(つまりこのあとまだ頭が上がる)ことを考えると頭抑えなきゃ!と強く思い、(そして195の練習から、ホップしたあとは引いてもスピードが戻らないことを体感していたのもあったのか(追記:195の練習のときは正対風が十分あったのでそのせいかも))おおおおおおおおおきく前に移動した
するとグングン頭が下がった。
やばい!
気づけば水面が見えていた(逆に言うとこの段階まで水面を認識していなかった)
フレアレベルで引き起こしたが間に合わず着水(追記:着水寸前で水平にまで戻ったので着水自体はきれい…カウルのフタ部分から着水、機体損傷なし…)
着水はなぜか全く新鮮味がなかった どこかで経験したような
頭を垂れるとオンボードが取れて浮いているのが見えた
ボートが来るまでそのまま待ち(追記:ビード版や浮き輪に乗ってる感じだった)、その後カウルを壊したくなかったのでカウル下フタ部分から出て待機
カウルがダイバーによって壊される音がしたので、足でダイバーを蹴ってアピールして引っ張り出してもらった
プラットフォームは驚くほど近かった(追記:水の温度を感じなかった なぜだろう)
正直最初から最後まで現実感が無かった
フライト中は景色がモノクロで、着水後に見えたオンボードの黄色のテープがやけに鮮やかだった

カウルだいぶくもってた
ずっと視界がもやもやしていて、水平線の境界及びトリム取ったときのキャノピーの水平線は見えてない見てない(前しか見ていないが、焦点があっていないような感覚)
ほぼ感覚だけで飛んだと思う(故にホップに対して敏感だったのか)
レバー触る余裕はない 体重移動に夢中で精一杯 指を離せない
足蓋スイッチの位置が限界(追記:ラダーのジョイスティックはそういうとこにつけるべきということ)

実際(横からのフライト映像を見て)
プラホ出て沈みつつ頭が下がり加速
ダイブというほど突っ込んではないかな そこまで攻めずに引き起こした。(もっと突っ込んでると思っていた)
その後ぐーっと高度が綺麗に下がる(ここの時間が体感よりかなり長い)下げすぎだ~もったいないぞ~との声も
少しフワッとしたって思ったら頭から突っ込んでドボン

操舵に関しての記憶は殆ど無い
特にホップ前
もしかするとダイブ→引き起こしのあと、沈下速度が大きい(=まだ頭が下がってる)ことを認識して、足りないと思って後退して頭を上げたのかもしれない。それがホップにつながったのではないか

テイクオフあとからずっと「下手だなぁ」と思ってた(なので後でフライトの動画を見たときに想像以上にきれいな曲線で飛んでいてびっくりした。)→つまりもしかすると細かく動いていたのかも。で細かすぎて効く前に前後を行ったり来たりしていて、だめだなと思って大きめに後ろに下がるとホップしたのではないか。そして上記の通り焦ってオーバーコントロール。

つまり

体感は実際よりも敏感である
しかしながらダイブ&引き起こしではG(及びサブG、マイナスG)は感じなかったが、ホップでは見た目よりも強く感じた
おかしい
→ダイブは感覚が飛んでいたのでは?もしくは出だしの大きな動きの中でダイブという大きな変化に鈍感になっており、その後安定?した滑空に入ったところで姿勢が変化することで、敏感にそれを感じ取ったのかも
自分としては、ダイブで頭下げてピピピ音が消えたのが分かった後からホップしたとこまでの記憶がない。

姿勢がわからん!
キャノピー拡大&クリアに&水平線の作図もっとはっきり書く
足蓋スイッチは取り付け位置もばっちりだった
カウルの中は快適 頭部も足も肩も特に気にならなかった(追記:ホップ後フレアみたいに後退したが、その時は蓋を足で押していたっぽい。ここは注意かも)
乗り込み持ち手とカウル下面との干渉が心配(今回邪魔には感じなかったが、かなり上げてつけているので。19では乗り込み部を変えるので問題ない?)
水平線の作図 頭の高さでいくらでも変わってくるので当てにならない(のでは)

敗因
オーバーコントロール
視界の悪さ(=自機姿勢を認識できていない)
ハングとの混同

ハングとの混同について詳しく述べる。
ハングと比べて操舵にワンテンポラグがあるという情報を頭に入れて飛んだ。(実際の体感的には(飛び終わった直後にはこう言っていた)ツーテンポ、スリーテンポ遅かった)これが違う(と認識していた)点。
しかし195でのフライトから、ホップ後の対応(しっかり引く、ただしスピードは戻らない(実際には実機は頭がゴリゴリさがり、スピードも出た))を体で覚えていたので、そのまま同じようにしてしまった。これが同じ(と考えてしまった)点
この両方を同時に出してしまったのがホップのとき。上部に記載。

追記
ハングでは迎角の目安としてバープレッシャーというものがある。頭上げの力(プレッシャー)が手元のフレーム(バー)に伝わることで、どれだけフレームを引きつけるべきか(「引く」(=頭下げる)という)わかる(追記:ちなみにハングのトリム位置は、フライヤーがハーネスでつられて手を離したときの場所に設定されていて、これが最小沈下速度のとこに合わせてある。普段それよりも少し引いて飛んでいるのは、少し増速することで最良滑空速度にしようというもの。つまり元々のトリム迎角よりも頭を下げて飛んでいるので、尾翼(に相当する部分)のダウンフォースを自分の手で打ち消しているためにバープレッシャーが生じていると考えられる。)。滑空機特に九大のフレーム(乗り込み部)ではそれを感じない!これも操縦が難しい一因になっていると思う。
ハングは何よりフレームを動かす=翼の迎角が変わるという「直接的な」関係がある。(当たり前だが。)対して琵琶湖型滑空機(重心移動)では間接的な影響であるために操舵の練習ができないし、移動量の目安が分かりづらい。これまた難しい。操舵がワンテンポ遅れるという感覚は、少なくとも自分はハングではあまり考えていなかった(考えずとも飛ぶことができる。)ハング(特に地面効果の練習中)では、出すと瞬間的に迎角が上がり、浮く。逆も然り。そのため、地面の凸凹に合わせたフライトなんかも簡単にできる。これは現状のQXではまずできないと思われる。
文中に出る195というのは翼面積の大きい機体のことで(翼面積が19.5㎡という意味。本当は17じゃないか?とも思うが。)普通に使うと2人乗りとかできるレベルで翼面積が大きい。坂口さんいわく鳥コン機に一番近いということで練習に使ってきた。しかしその経験が裏目に出てしまったのが悔しい。(ホップのとこ)

8/25追記
鳥コンCM動画に、滑空Pオンボード着水シーン集が上がっていた。着水まで頭上げして、直前にまた前に戻っている様子が見て取れた。つまりこれは、水面を(地平線)を認識しさえすれば自機の姿勢はある程度分かるのではないかということを示唆していると思う。なぜならば
オーバーコントロールの直後に水面を認識した→頭上げしていた→最後はまた戻っていた→ほぼフラット状態で着水→機体損傷及びケガはなし
という流れだから。
ばあばさん(19空力設計)には「重心移動をするとトリム迎角そのものが変わるので、それはちょっと違うんじゃないか?」と言われたが、静安定よりも反応が早かったということで一応説明がつく。
繰り返しになるが着水前の頭上げ姿勢のせいで足が蓋を開けていて(ソースはフライト連続写真)、そのせいか足蓋警告音のピピピが鳴っていた。

9/1追記
放送を見て改めて感じたのは、自分にはフライト前余裕がなかったという事。Mapplのどぅさんを見ていると、あんな決意を口にしたり、深呼吸をしたりする余裕は一切なかったなぁと。Umedalab.のKeiさんを見ていると、水平線オッケー!なんて確認する余裕もなかったなあと。悔しい。もしかすると、今年俺はチームを重視しすぎた結果、肝心の自分自身を大事にできなかったのかもしれない。放送の飛ん女シーンを見て、機体に入った後パイロットに向かって「前見える?」と誰かOBらしき人が言っていたが、あれくらいの余裕が欲しかった。

ただ、今年パーフェクトボーイ()とかいう飛ばなきゃならないわけで出場した甲斐あって、乗り込み~ダイブ~引き起こしの時のパイロットの映像が外の景色と共に放映されたので、貴重な資料になりそうだ。

キャノピーに書き込む水平線であるが、赤のマッキー程度では見えない。奥の地平線を見ていても視界に入るレベルでないといけない。かといって太すぎると地平線にかぶってしまいそうだ。色的には青の逆である赤がいいんだろうが、見やすいオレンジくらいがいいと思われる。(黒もどうかなと思ったが、おそらく微妙。)太さはマスキングテープ以下マッキー以上といったところだろう。

以上
鳥コン後にとったメモを載せました。
かなり読みずらかったと思います。資料として使ってください。

永田優希

こっそり追記
結局のところ一番の敗因は自分があの状況にビビっていたことだと思います。プラホ上での自分のふるまいを改めて見直すとかなりあたふたしていて落ち着きがないです。キャノピーが曇っていたのは事実ですが、飛行試験で同じ様に曇っていても本番ほど見えないということはなかったと思います(もちろん状況も飛行ルートも違うので一概には言えませんが)。
本番前のパイロットはパイロット自身が思っている以上に緊張しています。積極的に話しかけてほしいかも。
特に、雨などの普通じゃない状況ほどプレッシャーになることはないです。

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