正直、「ほっとしている」というのが今の心情です。皆が無事に琵琶湖に行き、そして無事に伊都キャンに帰って来れたことに、心底ほっとしています。
琵琶湖を振り返って
これまで機体や設計にばかり気を取られていた琵琶湖ですが、今年は初めて運営に注力した琵琶湖になりました。誰がどこで何をしているのか、次は何をするべきなのか、常に一歩先のことを考えながら全体に指示を出していくのはあんまり余裕なかったです。特にプラットホームが近づくほど瞬時の判断が求められるので、1年前から果たして自分に務まるのかずっと不安でした。そんな中で自分の足りない指示を補足し、動いてくれた皆には本当に感謝しています。
積み込み
今年例年と大きく違ったところは、次の2点です。
- トラックがウィングタイプ(側面が開くタイプ)しか借りられなかったこと
- 発電機の予約ができていなかったこと(見積もりまでで止まっていた)
ウィングタイプでも後ろの扉は開くとのことだったので、ウィングは使わずに例年通り後ろの扉を使おうと思っていました。しかし「左前方のドアがなかったこと」、「テント幅の見積りが甘かったこと」、「発電機の受け取りが翌日になったこと」(あと富永が固定の安定性を重視したこと)から急遽積み込み方を変えることになりました。そして、可能であれば右のウィングを使って積み込み・積み下ろしを行うことになりました。
主翼の本気ウマを壁に固定できなくなったことと取り出す順番やタイミングがより重要になったことを除けば、特に問題なく輸送できたのでよかったです。特に積み込み・積み下ろし時に主翼を横から出せることと風が入って涼しいことは大きなメリットでした。
出発日
14:30ごろ集合写真を撮って出発。写真を撮ってもらう人をあらかじめ研究室とかから連れていくと良いです。今回はたまたま近くにいた佐野の友達に撮ってもらいました。
ハイエースは発電機の受け取りがあった分時間がかかったため、他の車とペースを合わせるために古賀SAには寄りませんでした。
今回はフェリーのお金を事前に振り込んでおき、さらに乗船申込書を到着までに各車に書いてもらったためスムーズに手続きができました。
前々日
まとめて買った朝食用のウィダーとおにぎりをフェリー内と大津SAで配りましたが、今後は各自購入でいいと思います。結局フェリー乗船前に各自で夕食買うし、購入後クーラーボックスに入れるのかどうか、誰が持ってるのか、いつ渡すか等の管理が面倒なので。
昼間は買い出しと湖岸のチェックに行きました。湖岸チェックと聞くとトラウマが蘇りますが、鳥Tを着ないこととコンビニに駐車しないことは守ったので安心してください。できればこの時に簡単に整地しておけばよかったですね。
16:00にチェックインしてレンタカーを借りに行きました。今回はパイロットの鈴嶋がちょうどレンタカーを借りる時間と同じ時間に彦根駅に到着したので、徒歩で合流してそのまま夕飯→安全講習会という流れにしました。夕飯は駅前の近江ちゃんぽん。野菜多めで美味しかったです。
安全講習会の内容は例年通りだったと思います。その上で気づいたこととしては、
- 昨年あったウェザーニュース for Businessの無償提供がなかった
- 危険飛行例の後にお手本となる飛行例の映像があった(最終説明会で流れたのと同じもの)1番最初にQX-24が登場するのは嬉しい
- パイロットへの着水後の行動指示が具体的だったように感じた。「着水後機体の上にそのままとどまれるものは、そのまま浮いてて」という指示は、たぶんQX-24を受けて新しく追加されたもの。「できればカメラ目線で」という指示には会場から笑いが起こった。
20:00ごろ安全講習会が終わり、佐野須貝にホテルまで送ってもらいました。その後洗濯して就寝。
前日
朝湖岸に着いた時にあまりに草が生い茂っていたので土嚢づくりと並行して草むしりタイムに入りました。結構重労働でした。
7:55に鈴嶋と選手受付へ。
トラック組がじゃんけんに負け、一番近い5番の搬入位置では2.5hかかるとのことだったので、一つ遠い4番の搬入位置になりました。自分はこの時に選手受付しててすぐ対応できませんでした。判断してくれた芝田ありがとう。搬入でゴタゴタしている時に代表がいないのは不都合だと感じたので、これからは選手受付に同行するのは代表代理でいいと思います。基本的に資料やシールを渡されるだけなので、代表である必要性は感じませんでした。
搬入後はテント練どおりにテント組み立て。今年は九大のテントだけだと足りなかったため、元岡小学校から借りることになりました。元岡小学校様、ご協力してくださり本当に感謝しています。
最初テント配置でごたついてしまいました。とりあえず組み始めてしまう前に、どこに何色のテントを置くのかまで改めて指示した方がいいです。
14:15 オンボードカメラ搭載のためにLINEで事務局に連絡を入れましたが、1時間近く何の返信も連絡もなかった上、知らされた情報は「順番に回っているのでお待ちください」のみでした。他チームの人に聞いて何となく状況を把握していましたが、せっかくLINEを使うようになったので今機体チェックの人・オンボードの人がどのチームにいて次どこに行く予定なのかだけでも共有してほしいものです。
そうこうしているうちに15:45に先に機体チェックの人が来て、「何分で組める?」と聞かれました。「15分で組めます」と言って本当に15分で左翼と水平尾翼を組みましたが、実際に機体審査が来たのは16:08でした。機体審査自体は爆速で16:20に終了しました。
その後16:50ごろオンボードカメラの人が来ました。
隣の鳥科さん、津田沼さんの代表と朝の動きについて共有しました。お互い5時半ごろに組み上げを開始すること、前後で互い違いに組むこと、駐機場に入っちゃうけど許してねといったことを話しました。
極楽湯に行くメンバーをグループ制で決めたのはよかったです。提案者、ありがとう。今年は車を多く借りていたので、特に時間制限を設ける必要はなく、精神的な余裕を持って極楽湯に行けたんじゃないでしょうか。
この時1年生に明日の朝食の買い出しをお願いしていたのですが、来年は車が使えてある程度琵琶湖がわかっている上級生に頼んだ方がいいと思います。徒歩かつ初琵琶湖の1年生にいきなり大量の買い出しをお願いするのは負担が大きいです。
21時過ぎには就寝準備に入ったのかな。夜は少し涼しい風が吹いていたので個人的には寝やすかったです。普通に2:30まで寝れました。
本番
4:30に全体ミーティングを行い、機体の出し方や組み方といった今後の動きを共有。
機体を出した後駐機場で2番まで組むことができました。5:30ごろから徐々に移動開始。一個後ろの津田沼が全然組み上げてなかったので精神的には余裕がありました。「ゆっくりでいいよー」「焦らなくていいよー」と言いながら移動と組み上げ。途中芝生で比較的平らな土地を見つけて横のトリムと縦のトリムをとりました。少しでも怪しい動きがあれば「ストップ」と言って、ゆっくりでもいいから確実に動くことを意識しました。今年も拡声器を使いました。
6:30過ぎに東北大のフライトがありました。テイクオフ後の挙動は安定していたので「これは飛ぶなー」「時間が遅れていい風狙えるかも」と思っていましたが、思ったよりは早く着水しました。さらにフライト5番目のはずがよく数えたら法政が抜けて4番目になっていて、風の条件が悪くならないか心配でした。機体は特に不具合なく組み上がっていたので焦りはしませんでした。
転回場で運営の人に「帽子をかぶって」と言われたので、プラットホームに上がる30人は全員帽子をかぶるように言いました。OBさんからも貸していただいて申し訳なかったので、来年は駐機場を出発するときにちゃんと持っていった方がいいです。
1番機、2番機と記録が振るわなかったので「今日もテイクオフが難しいコンディションか」と思っていましたが、一つ前の鳥科がビッグフライトを見せてくれたので勇気づけられました。
鳥科のフライトが終わり、いよいよプラホに上がりました。早く機体を置きたかったのですが、鳥科の結果発表が終わるまで90度回転することを禁じられて機体を置けませんでした。結果発表後、テールを持っていた芝田と位置と角度の調整を行い、脚のリロードをして置きました。去年は本当に自分が置きたかった位置と少しズレた位置に置いてしまった記憶があったので、設計としっかりコミュニケーションとって確実な位置と角度で置くことを意識しました。左右の柵の高さも確認して、スタンバイ。気分アガッていたので、人集めて円陣組みました。そしてフライト。
フライト後指示系統が急に変わるのは混乱するから代替わりを火曜にするという案があります。いいと思います。自分も去年いきなり任されてうまく振る舞えなかったような記憶があるので。考えておくことがあるとすれば、最近運営がYoutubeに力を入れていて、来年以降も今年のようにYoutubeLiveに出演するかもしれないので、その間の指揮を誰にするかとかかなあ。あと、去年も発生したアルバム撮影用カメラマンを人混みから探す時間がもったいないので、電話番号を事前に聞いておくとかしてすぐ呼べるようにしたいですね。個人的には、琵琶湖に着水した瞬間に代替わりするシステムは、「鳥人間」というサークルを表してる感じがして好きですけど。まあ、うまいことやってください。
新幹線組が帰った後は他チームのフライトを見つつ琵琶湖で遊んでいました。久しぶりにf林と戯れられて楽しかったです。今年はフライトも撤収も早かったので宴会前に極楽湯に行く時間もありました。
彦根レンタカーを返却してからOBさんたちとの宴会会場に向かいました。いろんな話聞けて楽しかったです。先輩たちの温めている案を聞くのはやっぱり好きです。思えば自分が鳥人間にのめり込むきっかけもこんな感じだったかも。
撤収〜伊都キャン
フェリー乗って伊都に帰りました。泉大津港まで行く途中大阪城と万博の大屋根リングがチラッと見えたので興奮しました。たこ焼きとお好み焼きも食べたので大阪観光バッチリですね。
フェリーは楽しかったです。自分は結構饒舌だったと思います。自分の悪かったところを後輩に聞きまくるという、今考えたらめっちゃ答えづらい質問をしてしまいました。反省。でも、聞いてる感じ自分が思ってたよりは悪くない運営だったのかなと思います。自分のいいところも悪いところも全部言ってくれた後輩、愛してるぜ。
鳥人間人生を振り返って
僕は鳥人間で好き勝手やらせてもらいました。思いついたいろんなことを試して、うまく行った時は嬉しかったですが、思い通りにならなかったこと、やりかけで終わったこともいっぱいあります。自分が道無き道へ行ったことで同期や後輩を振り回し、よく思われていなかった自覚もあります。本当にいろんな人に迷惑をかけました。
それでも先輩や同期や後輩に恵まれてなんとかここまで来れました。特に同期の須貝には背中を押されながら、佐野には正されながら、なんとかやってこれたのかなと思っています。また、自分が設計を目指すきっかけになった歴代設計の方々や、いつもこんな自分を暖かく迎えてくれた主翼班、そしていろんな意見や言葉をくれた同期・後輩のみんなには、本当に感謝しています。
ここで学んだことを、少しでも書き残してから卒業するつもりです。 これからはOBとしてみんなを支えていきます。お前たちなら700m飛べるさ。
QX-25代表 森隼人