QX-25パイロットの鈴嶋と申します。初めましてなので軽く自己紹介をします。カウル班所属のB2で、好きな食べ物はどら焼き・もんじゃ焼き・黍団子です。大会が終わり、甘いものを思う存分食べられるので幸せです。
琵琶湖にいた3日間を振り返りたいと思います。
7/25(金)
運良く金曜が全休だったので、かなり余裕のあるスケジュールでした。18:30から彦根で全チーム合同の安全講習会があるので、新幹線・在来線を乗り継いで17:20くらいに彦根に到着しました。代表と合流後、ご飯を食べて講習会の会場へ向かいました。近江ちゃんぽん美味しかったです。
ノーツがなぜか遅刻してきたので10分ほど遅れてスタートしました。内容はオンラインで開催された出場者最終説明会とほとんど一緒だったと思います。大洗でハングをやっている4チームが集まってわちゃわちゃしてました。入学初日の教室のようでした。
7/26(土)
作業をしながらペラのフライトを見ていました。昨年秋の交流会でお世話になり、面識のあるパイロットの方が多く出場されていたので個人的に応援していました。
全体的に風が渋そうでした。北大が飛んだ時には真後ろから3~4m/sの風が吹いていたと記憶しています。明日もこの風だったらやばいなと思っていました。プラホ見学終了後、テントでフライトチーム・設計とフライトプランを確認しました。
7/27(日)
7時間ホテルで爆睡しました。緊張で眠れなくなるタイプではないみたいです。正直もうちょっと出発時間を遅らせても支障はなかったと思います。フライト順次第ではメディカルチェック後にホテルに戻ってもいいと思います。(Mapplはそうしてた)
湖岸で東北大のテイクオフを見ました。完全に凪で飛びやすそうでした。おそらく意図的にやっていると思いますが、ずっとピッチアップで飛んでいました。風の条件的には悪くなかっただけに、予想外の着水の早さは衝撃的でした。振り返ればこの時が一番緊張していたと思います。”何かが違う”展開に緊張感が走ったのだと思います。しかしながら、主翼の隣で爆睡している23Pを見て謎に緊張がほぐれました。このくらいパイロットは泰然としているべきですね。滑空機部門が始まる頃には、風は正対よりに変化していました。
<桜美林~RTR(九大は転回場付近)>
今年に関しては、かなり短いスパンで風向きが逐次変化しているようでした。この時はプラホに対して1時半の方角から微風が吹いていました。このままの風だった場合、ラダーを切って左旋回しようと考えていました。転回場で外村さん(去年までゲートオープンを担当されていた方)に話しかけられ、アドバイスを受けました。アドバイスは以下の通りです。(覚えている限り)
・風に正対させて出せ(右向きに発進しろ)
・右手の機体保持者の助走距離が短くなるからBIRDMAN RALLYの文字の左側に機体をずらしてセッティングしろ
・左に流すなら沖島の右あたりを目印にしろ
九大は翼持ちはおらず、胴体に補助員が付くと言ったら渋そうな表情をされました。
<鳥科(九大は桟橋中央)>
フライトチーム4人でプラホに続くスロープまで登り、身を乗り出しながら理科大のフライトを見ました。後ろから見た限りだと、以下のように感じました。
・無風
・発進直後に右に流された
・高度が低くなってから左に流され始めた
・ラダーは使ってなさそうだった(鳥科のP曰く実際使ってないらしい)
この時、右に流されずに正面に発進させて、そのまま風に流されれば450いけるのではと考えていました。斜め発進も一瞬よぎりましたが、フライトチームの負担も考えて基本は正面に発進すると前日のミーティングで決めていました。
フライト
鳥科のフライトが終わり、自分がプラホ上に上がった時は無風でしたが、インタビューの準備をしている時くらいから正面からの風が吹き始めました。インタビューを受けている間は、タレントさんとの会話そっちのけでずっと湖面の様子を眺めていました。気づいたら、「地面効果って何?」「どういう原理で発生するの?」と聞かれていました。上手く答えられなかったです。勉強して出直してきます。
湖面の様子を見た感じだと、
・まだら(凪のところもありそう)
・かなり沖の方で横風が吹いてそう
といった感じでした。インタビュー後に設計と話し合い、ラダーは切らずに正面突破することで合意しました。沖の方で横風が吹いていそうでしたが、
①凪の状態のところもあり、どのくらい沖で吹いているのかが未知数であること
②鳥科のフライトを見て、かなり沖に出ないと横風が吹いてなさそうな感じだったこと
これらが相まってラダーを切る勇気はありませんでした。設計とプラホ上でこの判断をしたことは間違ってはいなかったと思います。緊張は全くしておらず、むしろ興奮していました。そうこうしているうちに正対風が2~3m/s吹き始めていました。
ゲートオープンした後は、審判長が完全に横に退避したのを確認後、風が安定したタイミングでOKと叫びました。乗り込みはスムーズすぎて記憶がないです。フライト中は高度・速度感覚はなかったものの、ピッチの感覚だけは冴えていました。発進直後に頭上げを感じ、エレベータでダウンを一瞬打ったほか、重心移動でも限界まで前に出ました。今振り返ればやりすぎたと思います。結果、機首が急激に下がり怖くて上げ舵を切りました。
フライト後に解説の鈴木さんや大木さんにここが勿体なかったと言われましたが、エレベータでダウンとアップを一発ずつ打っただけで定常に入れたのは、シムをやりこんでいたからこそではないかと思います。
速度ブザーが断線して鳴らなかったため、本当にちゃんと飛べてるのか分からない中で飛んでいました。飛んでいるという感覚ではなく、ロープウェイでゆっくり下っている感じでした。尾翼の操舵ができなくなる想定の練習はしていましたが、速度ブザーが鳴らないのは少し想定外でした。
高度50cm~1mくらいの所で一瞬吸い込まれたように感じました。これが地面効果の逆効きかと思って少し後方に重心移動しました。しかし、これは実際には速度不足による沈下であり、高度も2mほど残っていました。ここで頭を入れていたら津田沼と順位が入れ替わったと思います。悔しいです。
全体的には良い意味でも悪い意味でもフライトプラン通りに飛べたと思っています。着水後にプラホを眺めたときは良い感じに左に流され、チーム記録は更新したなと思っていましたが、思いのほか記録が伸びませんでした。記録をイヤホン越しに聞いたときは鳥科に負けたことしか頭になく、インタビューでは事前に佐藤さんから叩き込まれた言葉を吐くので精一杯でした。ハーバーに戻るボートでは、隣にいた女性アナウンサーの方が「チーム歴代2位の記録ですよ!素晴らしいフライトでした!」と明るく励ましてくださいました。(実際は3位だった) 気を遣わせてしまい申し訳なかったです。
一年間、様々な方に支えられて琵琶湖で飛ぶことができました。自分の納得する操縦で着水する瞬間を迎えられたのは、パイロットとして本当に恵まれていると思います。来年以降のことはこれからゆっくり考えます。とりあえず一年間ありがとうございました!